弊社はフォトスタジオ(写真館)向けの総合業務アプリケーションを開発してる、システム開発企業です。
そのなかで、フォトスタジオの抱えている困りごと、課題などをもとに、効率の良いフォトスタジオの運営に寄与することを目指してシステムを開発しています。
今回は、「フォトスタジオの開業費用はどのくらい?」をテーマに、開業に掛かる初期コストから、運用ランニングコストまで、実際のフォトスタジオ様にも取材ご協力をいただいたリアルな内容となっています。
現在のフォトスタジオ業界の開業状況
まずは、最近のこの業界の状況を教えていただけますでしょうか?
一括りに「フォトスタジオ経営」と言っても多様な形に今は変化しています。
昔からある”街の写真館さん”は写真のプリントや記念写真の撮影で主にご夫婦で自宅兼店舗で経営するパパママ・ショップです。こちらが第一世代と言われてます。
その後、写真プリントをやめ、記念写真に特化したのが第二世代です。有名なフォトスタジオは30年くらい前に出始めました。数年前から増えてきたのが、撮影のための場所を提供するいわゆるハウススタジオは第三世代に当たります。そして、最近多いのが第四世代と言われる方たちです。
個人のカメラマンと一般のお客様をマッチングさせるマッチングサイトです。マッチングサイトに、カメラマンが登録してお客様はカメラマンのセンスなどに魅力を感じて撮影を依頼します。
あくまでもカメラマン個人が出張して撮影するので、店舗は持っていません。
ただ、センスが重要になるので、サイトに登録されているすべてのカメラマンがこのサイトだけで成り立っているわけではありません。しかし、人気カメラマンですと年間で700件くらいの撮影をするそうです。
この業界も様々なニーズに対応するように多種多様になっているのですね。
フォトスタジオの開業にかかる費用(初期コスト)
フォトスタジオを開業したい場合、具体的にはどのくらいの費用がかかりますか?
費用について、「これだけ掛ければ十分」というものは正直ないです。
全体の予算内で、どこに重点をおくのかということを検討します。
初めの店舗の初期投資はなるべく少額でスタートします。所有物件があればそこをリノベーションします。新規購入はオススメしません。
初めての店舗の初期コストは、規模にもよりますが、最低でも1000万円くらいかかります。経営が軌道にのれば、5年くらいで回収はできます。
機材・設備にかかる費用
ゼロベースで、フォトスタジオ店舗を開業するためには、多くの機材や設備が必要になります。
- 撮影機材(カメラ・ストロボ・三脚・レフ版)
- 衣装、美容備品(着物(重要)・ドレス・鏡・メイク道具・ヘアーセット道具)
- コンピューター関連(パソコン)
- 撮影画像格納ストレー
- 内装費(壁・床・エアコン(重要))
- 家具什器備品(棚・撮影に使う家具(重要))
参考価格
カメラ | メインカメラには25万円以上 サブ用には急な故障に備えて15万円程度 |
衣裳 | 七五三用:最低3万円×5点×3(七五三)×2(男女)=90万円くらい |
パソコン・ストレージ | レタッチ用PC、受付用PC、画像保存用NAS=約50万以上 |
内装費 | 30坪で900万円くらい |
三脚 | 中古品1万円くらい |
ストロボ | 3万円くらい×3台=9万円くらい |
レフ版 | DIYで5千円くらい |
カメラ
カメラはどのような種類でどのくらいの価格のモノが必要ですか?
ミラーレスカメラは現在、プロでも主流となっています。メインカメラには25万円以上の価格帯のものを使い、サブ用には急な故障に備えて15万円程度のカメラを持っておくことが安心です。
レンズは写真の重要な要素なので、15万円以上の良質なレンズを使用します。カメラマンはここに投資する傾向にあります。
良い写真には良いレンズが必要です。また、近年は動画の需要も高まっており、個人的には動画も撮影できるカメラが良いと思います。
衣装・美容備品
衣裳はどのくらい必要ですか?
カメラにコストをかける方もいますが、私は衣裳にコストをかけるのがお客様にもっとも刺さりやすいと考えています。
フォトスタジオの収益の多くは”こども”です。特に七五三はマスト。日本には着物文化があるから、七五三には着物を着せたいという要望は多いです。
七五三の着物は必ず準備したほうが良いです。(3歳の女の子着物は一着、最低でも3万円)
特徴のある衣装をカテゴリーごと5点くらいずつ準備(店舗のコンセプトにあったもの)
衣装は、毎年少しずつ購入していく方が良いと思います。
衣装にお金を掛けるなら、カメラなどの機材の費用を抑えた方が良いです。両方にお金をかけるのはリスクが高くなるのでおすすめしません。
パソコン・ストレージ
フォトスタジオにはPCが必須と伺っておりますがいかがですか?
現代のフォトスタジオ経営では、バックヤード作業にはハイスペックなPCが必要です。また、画像の保管には2〜3台のNASを準備し、BCP(Business Continuity Planning)対策も考慮し、クラウドストレージも必要です。
一方、受付や接客用には、ロースペックのPCやノートPC、タブレットが適しています。各デバイスを適切に活用することで、スムーズな業務運営と顧客対応が可能となります。
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内装費
フォトスタジオでは内装工事費に一番お金がかかるかと思いますがいかがですか?
内装工事は店舗規模にもよりますが、30坪で900万円くらいです。
信頼できる内装業者にベース部分を依頼し、装飾部分はDIYすることをおすすめします。全てに高額なコストをかけるのではなく、メリハリを持たせることが重要です。
照明機器はインターネットで安価なものを購入し、内装業者には設置のみを依頼しましょう。自身のコネクションを最大限に活用して費用を抑えることも重要なポイントです。
また、良い居抜き物件ならば、バックヤードの照明、エアコン設置の費用が省ける場合もあります。その場合は600万円くらいですみます。
家具什器
家具や什器等はどのようなものをお使いですか?
店舗のコンセプトに準じたモノにしましょう。なるべく既製品を使い、+DIYでオリジナル風にするのが良いでしょう。
うちの店舗でも100均で購入したものにペンキをぬったりして使っているものもあります。
また、他店舗で不要になったものをこちらの店舗に持ってきたり店長同士で工夫しながらやってます。
スタジオ内の大きなレイアウト変更などはお金がかかりますが、ちょっとした季節ごとイベントごとの飾りつけには工夫が重要です。
三脚
三脚はどのようなものをお使いですか?
うちの店舗においてある三脚は昔から使っているものです。最新の物はもっと軽くて移動しやすいものが多いですが、古くても三脚として使用するには十分です。
ストロボ
ストロボはどのようなものをお使いですか?
フォトスタジオには最低でも3つのモノブロックタイプ(中国産のストロボなら3万円くらい)のストロボが必要です。
ストロボのコストは削減できますが、光にこだわってLEDを導入することも選択肢です。ウエイトの置き方によって、フォトスタジオの価値が決まります。
レフ板
レフ版はどのようなものをお使いですか?
レフ板はDIYです。スタジオでは屋外撮影とは異なり太陽光を調節することはありません。光はライティングで調整できるので、このDIYレフ板で十分です。
うちではさらに工夫してレフ板として使う以外に裏側に壁紙をはって背景として使ってます。
壁板
雰囲気がちがういろいろな壁がありますがこちらはどのように作っていますか?
雰囲気の良い撮影には本物のレンガを使う必要はありません。レンガは壁紙でも雰囲気のある家具や雰囲気ある小物との組み合わせでステキな撮影が可能です。
また、壁面にLEDを入れることも個性を出す手段ですが、費用がかかります。ウエイトをどこに置くかでフォトスタジオの価値が決まります。
お客様=ファンを作るためには、独自の個性を取り入れることも重要です。
小道具や家具
壁のお話では家具や小道具が重要だとわかりました。具体的にはどのような家具をお使いですか?
お客様が直接触れる小道具やソファなどは、本物を準備することで高品質な印象を与えることができます。
一方で、触れないものや装飾にはフェイク(人工的なもの)を使用することで、コストを抑えることができます。このようなメリハリのあるアプローチにより、お客様に快適な体験を提供しながらより良い撮影ををすることができます。
うちの店舗では海外のアンティークのドア(10万円くらい)を壁に張っています。この感じはなかなかでないので、満足してます。また、ヨーロッパに視察にいった際に撮影した写真をモノクロで数枚飾ることで額縁は高級なものではないですが、写真は本物なので良い一角になっています。
物件取得にかかる費用
物件の取得には何かと費用がかかると思いますがいかがですか?
スタジオの場合、坪単価はおおよそ1万円程度です。最低でも30坪の広さが必要です。開業する際は、七五三シーズンが始まる前の3月がベストな時期です。
その時期を起点にして、賃貸契約をいつから始めるかを決めることが重要です。最低でも2ヶ月の準備期間が必要ですが、経済的な余裕があればより長い準備期間を確保することができます。
初めて店舗を開く場合、自宅兼店舗はおすすめしません。賃貸居抜き物件が適しています。固定費を抑えるために、家賃で運営することが良いでしょう。また、保証金はなるべく少額にすることが望ましいです。
賃貸契約の場合
賃貸契約時の注意点やポイントはありますか?
オープンからの賃料発生を避けるために、不動産業者と交渉することで費用を抑えることができる場合があります。
また、エアコンの稼働状態を必ず確認しましょう。エアコンの設置は不動産業者や大家さんにお願いすることが適切です。エアコンの設置に関するトラブルや費用を最小限に抑えることができます。
物件を購入する場合
物件を購入する時の注意点やポイントはありますか?
初めての店舗開業では、購入よりも賃貸をお勧めします。なぜなら、店舗の重要な要素は立地条件だからです。
多くのお客様は小さな子供を連れて来店するため、不便な場所にはなかなか足を運ぶことはありません。また、良い立地条件の物件を購入するには高額なコストがかかります。
経営が軌道に乗る前は、賃貸(居抜き物件)を選ぶことが賢明です。賃貸にすることで固定費を抑え、経営を安定させることができます。
フォトスタジオの開業にかかる費用(運用コスト)
運用、運営で経費の割合が多いのは、人件費、材料費です。
その他、広告宣伝費、システムなどソフトウェア維持費、水道光熱費、修繕費などです。
開業当初に月に40組の集客を見込む場合、適切な運用コストの計画が重要です。これには以下の要素が含まれます。
- 人件費
- 材料費
- 家賃
- 水道光熱費
- 広告費
- ツール費用
- 諸費用
人件費
開業後、家賃のほかに大きなコストは人件費かと思いますがいかがですか?
人件費のコストを抑えるために、最初はカメラマンと美容/アシスタントが兼任するスタッフでの運営が理想的です。手が足りなくなった場合は、スポットのアルバイトや外部の業者に仕事を依頼することもあります。また、効率的な接客のためにシステムを活用することも重要です。
お客様のリピート率が高い理由の一つは、「接客の質の高さ」です。接客に時間をかけることでお客様の満足度を向上させ、リピート率を高めることができます。スタッフの接客スキルの向上はかなり重要と言えます。
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材料費(商品原価)
昔のフォトスタジオでは写真の現像にお金がかかっていたかと思いますが最近はいかがですか?
最近はデータ販売が主流で、一般的な販売価格は約3万円です。フォトアルバムなどの商品については、原価が安くても高い価格で売れるものを選ぶことが重要です。
売れ筋商品を自社で制作(内製)する場合は、効率的な生産体制を整え、品質にもこだわっております。逆に、売れ行きの見込みが薄い商品については、内製化せずに外部委託しております。
在庫の管理については、大量のストックを抱えるよりも都度発注をする方が効率的です。これにより在庫コストを抑えることができます。
需要予測や納期管理を適切に行い、必要な時に必要な分だけを調達するのが良いです。
商品の選定や制作の内製化においては、市場の需要や効率性を考慮しつつ、顧客ニーズに合った魅力的な商品を提供することが重要です。
家賃
家賃は場所によってかなり違うかと思いますが、ここ静岡市ではいかがでしょうか?
この辺りは1坪1万円で、30坪だと30万円が相場です。そうすると、月300万円くらいの売上が必要です。
(家賃は売り上げの10%以下が望ましい) 月300万円だと、20日営業平均で1日15万円の売り上げが必要になります 。賃貸を決める際は想定する売り上げも大事です。
水道光熱費
水道光熱費はどのようにお考えですか?
エアコンの節電については、お客様がいない時間帯に温度を調整するなどの工夫が効果的です。最後の撮影が終了したらエアコンを切ることも考慮しましょう。
また、扇風機やサーキュレーターを設置して、スタジオ内の空気の流れを良くすることで、快適な環境を提供することができます。
ただし、お客様の快適な撮影環境を確保することも重要ですので、エアコンの適切な温度管理や空気の質には注意を払います。お客様の満足度と撮影の品質を両立させるために、節電と快適性のバランスを取りながら運営することが大切です。
宣伝・広告費
オープンしたばかりだと宣伝や広告も重要かと思いますがどのようにされていますか?
オープン時は、SNSを活用して費用を抑えながら集客を行うのは効果的な手段です。お客様紹介キャンペーンなどの直接的な集客活動にコストをかけています。
店舗のオープン前からSNSに店舗の写真や情報をアップすることは、集客だけでなく求人面でも効果的です。SNSを通じて広く情報を発信し、興味を持った人々にアクセスしてもらえる可能性があります。
一方、折込チラシは基本的に必要ないと考えます。ただし、幼稚園や保育園には直接ターゲット層に届くので、年に1度お配りすることもあります。
また、SNSからLP(ランディングページ)への流入を促し、予約サイトなどに直結させることも重要です。スムーズな予約手続きを提供することで、お客様の利便性を向上させ、効果的な集客を実現できます。
ツール費用
当社からも提供させていただいておりますが、システムツールについてお聞かせください。
スタッフ2名以上で運営するならば、システム導入は必須です。
集客としてSNSから店舗のWEBサイトに誘導し、そこからWEB予約の流れが増えています。
お電話での店頭予約ももちろんありますが、予約システムを導入することで、リアルタイムに、受付スタッフが予約状況を確認でき、スムーズな電話対応ができ効率がアップします。
フォトスタジオ向け総合業務アプリケーション Smart PhotoStudio
フォトスタジオのさまざまな業務を統合的に管理することができます。
フォトスタジオ向けオンラインギャラリープラットフォーム MYPHOTOPAGE
MYPHOTOPAGEは、フォトスタジオ向けのオンラインギャラリープラットフォームであり、フォトスタジオで撮影した写真をお客様と共有するためのツールです。
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その他諸経費
フォトスタジオ経営でその他に経費としてかかるものはありますか?
スタッフの教育・研修は重要な投資です。写真撮影や編集の技術を磨くことだけでははく接客スキルの向上もフォトスタジオの価値を高め、お客様の満足度を向上させます。
最初に言っておりますが、フォトスタジオの最終的な価値は「人」ですのでスタッフの教育は売上に大きく貢献します。
<インターネット接続費用>
オンライン予約や顧客管理などを行うために必要なインターネット接続の費用がかかります。プロバイダーによって料金や契約プランが異なるため、予算に応じて適切なプランを選ぶ必要があります。
フォトスタジオの開業費用を抑える方法
フォトスタジオの開業費用を抑える方法はいくつかあります。以下にいくつかのアイデアを提供します。
- 小規模なスペースから始める
- 中古の機材を活用する
- DIY(自分でやる)アプローチ
- クラウドベースのソフトウェアを使用する
- コラボレーションや共有スペースの活用
- プロモーション活動に効果的な方法を選ぶ
- レンタルオプションを利用する
まとめ フォトスタジオの開業にかかる費用
フォトスタジオ開業に掛かるこれらの費用は一般的なものですが、開業にあたっては具体的な事業計画や予算の作成が必要です。予算を立てる際には、費用だけでなく収益見込みやリスクも考慮し、適切な資金計画を立てることが重要です。
インターネットやソーシャルメディアを活用した情報発信やマーケティングは比較的小規模な投資から始めることができます。
フォトスタジオの情報発信やマーケティングを効果的に行うことで、集客やブランド認知の向上につなげることができます。
また、オンライン予約の需要が高まっている中で、フォトスタジオがWEB予約サイトを導入することが重要です。顧客の利便性向上や受付業務の効率化、マーケティング施策の展開や顧客情報の活用など、さまざまなメリットがあります
店舗のスタッフが2名以上の場合はシステム導入は必須です。システムを導入することで、業務プロセスがマニュアル化されます。
- 受付業務の効率化が図れるWEB予約システム totoco-net
- 店舗での予約管理、顧客管理、写真セレクト、売上管理などフォトスタジオの業務をトータルサポートするアプリケーション Smart PhotoStudio
- フォトスタジオで撮影した写真をお客様と共有するためのツール MYPHOTOPAGE
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